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General Living



日本を旅行した事のある方なら、きっと旅館という日本の伝統的な宿に泊まった経験のある方もいらっしゃるでしょう。普通こういった旅館は観光地や、田舎にあるものですが、なんとこの’プチ旅館いちふじ‘は名古屋のドン真ん中に位置し、小さいですが、その美しさは目を見張るものです。その美しい玄関から一歩中に入ると、まるで日本を紹介する美しい本の中にいるような気分にさえなります。一歩足を踏み入れるだけで、なぜだか、とても懐かしい、そして暖かい気分になれるのです。それはまるでおばあちゃんの家に訪れるような、なんだか不思議な、そう、昔楽しい事ばかりだったあの遠い日々に戻ったような気分になるのです。日本のお家にお邪魔するのと同じように旅館では、まず入ったら靴を脱いでスリッパに履き替えます。ティ.襦ムのような感じのいいお部屋に通された私は、とてもリラックスした気分になれたのです。女将の石田陽子さんがその暖かい笑顔と共に、疲れきっていた私の心をまるで知っているかのように、よく冷えたお茶を運んでくださいました。女将はお客様がご到着されるとまず、必ずこのかわいいお部屋でゆっくり疲れを癒してもらえるよう、お飲み物をサービスされるそうです。「世界中のお客様をお迎えできるのはとてもうれしい事です。お客様には、もうひとつの故郷に帰ってきたような気分になっていただきたいのです。疲れてご到着されて、せっかく旅館に着いたのに、いきなり何かを書かされたり、重い荷物を運ぶなんてしたくないじゃないですか。まずは、ゆっくりと落ち着いてお茶でも召し上がっていただいて、お疲れを癒していただきたいのです。」と美しい笑顔で語る彼女は、私をとてもすがすがしい気分にさせてくれたのです。「私は英語はあまり得意じゃないけれど、言葉じゃないんですよ。気持ちって必ず伝わるんですよ、それがどこの国のお客様であっても。自分がしてもらったら嬉しいと思うことをして差し上げたいという気持ちと心は必ず伝わるんですよ。私はいつも夫(旅館のオーナー)とともに、ここを訪れてくださったお客様に旅館を去っても、私たちとこの旅館をずっと覚えていただきたい、という思いで、心を込めて接客させていただいています。



そんな女将の陽子さんは、お客様とのコミュニケーションをなによりも大切にしていらっしゃる。時には、別れがつらくて、玄関どころか、地下鉄の駅までお見送りに行き、涙で別れを惜しむ事も度々あるそう。「どんな別れであっても、別れはつらいですよね。でもね、きっとお客様は私たちのことを覚えててくださると思うんです。なぜなら私たちがお客様の事をずっと覚えているから。」そう言った彼女の顔は心がこもっていて本当に美しかった。
お茶を飲み終えた私に、オーナーの石田富康さんが旅館の中を案内してくださったのです。
まるで迷路のようにどこまでも続く廊下はきっと私一人で歩いていたら迷子になってしまうだろうと思うほど不思議な空間がいくつもあるのです。しかしどこを歩いてもピカピカ磨きぬかれた、美しい歴史ある木の廊下は、小さな白い小石と、ほの暗い美しいおしゃれなちょうちんに照らされ、最高に美しく感動を呼ぶのです。お部屋のひとつに案内され、驚いたのが、とてもシンプルな、そしてきれいな畳(わらで出来た日本のマット)の部屋です。時代を感じさせないそのシンプルで美しい部屋にあるおしゃれなフラットTVを見た私は、ふっとこんなところで、ゆっくりコメディでも見られたら最高の贅沢なんだろうなと思ったりしたのです。いちふじでは、畳で布団という和室が苦手なお客さまように、ベッドがご利用ただける素敵な洋室もあるのです。(写真をご覧ください)

名古屋を歩きつかれた人に、これ以上はない癒しが体験できるのが、まさにこの旅館だと実感できました。オーナーの石田さんの案内でお部屋を見た後、この旅館できっと一番くつろげる場所、大浴場を紹介してくださいました。お客様の事を一番に考えて作られた、ヒノキのお風呂は、入る人の誰をもリラックスさせ、至福のときを味わってもらえる事は間違いないでしょう。こんな素敵な空間にいるとこの旅館が街の真ん中にあることをつい忘れてしまうほどです。この旅館はモダンな高層ビルや、高速道路がすぐ近くにある場所に位置しているのです。そんな中いちふじに足を踏み入れると、そう、昭和のあのころに帰ったような気にすらなれるのです。いちふじは今から60年も前に建てられ、あの第二次世界大戦で多くの建物が焼けたにもかかわらず、そのころの面影を残しつつ今の姿に建て直されたのです。私はこんな素敵な歴史のある旅館に泊まれるチャンスにめぐり合った事をすごくラッキーだと思いつつ、その値段の安さにも驚いたのです。予算の少ない方にもお勧めです。騒々しい、冷たいビジネスホテルに泊まるのにうんざりしている人にも絶対お奨めです。それだけではないのです。パン、サラダ、ヨーグルト、お好きな飲み物がついた軽い朝食も宿泊料についているのです。これだけあればランチまで十分エネルギッシュに動き回れますよね。そして、オーナーから素敵なこのご近所の方々のお話も伺いました。ご近所の方々はとても人懐っこくて、フレンドリーなのです。近所の方が、いちふじに行こうとして迷っているお客様を見つけると、電話をかけてくださり、「迷ってる外国人いるけど、お宅のお客さんじゃないの?送っていってあげるよ。」と。こうやってあなたもラッキーだと、下町の本当に素敵な暖かい人々の優しさに触れる事もプチ旅館いちふじに泊まると出来るのです。
いちふじにお別れを告げての帰り道、私はなぜだか、女将の陽子さんがおっしゃった言葉が忘れられませんでした。「私たちは、すべてのお客様にとってわすれな草のような存在でありたいの。」私は日本で絶対に忘れる事の出来ない美しい花に出会う事が出来たのです。

石田ご夫妻 本当にありがとうございました。

Yoko Ishida
Ichifuji Inn Land Lady